本年度の目指す運動

一般社団法人 網走青年会議所2018年度 理事長所信

一般社団法人 網走青年会議所第67代 理事長 柏原 英男

【自己と向き合う】
私は、オホーツク海の海岸沿い、網走市鱒浦の地で生まれ、幼少の頃を過ごしていました。祖父が2代目として会社を経営しており、小さな私の世話は母や祖母、そして社員や取引先の人も面倒をみてくれました。3代目である父が他界し、4代目として私が代表となった時、「会社に係わるすべての人が、家族である」という私の想いは、そういった原体験や父の教えから生まれています。
そんな私も若かりし頃は、自分と向き合うことなく、なんとなく父の会社に入社し、日々を過ごしていました。当時の私は視野が狭く、目の前の仕事をこなす事しか考えていませんでした。人生の大半を故郷の網走で過ごしていたにもかかわらず、私はこのまちに全く興味を持っておらず、まちの未来を想う事や行動を起こす気概など何一つ持っていませんでした。
そんな私に一つの転機が訪れました。同級生が私を青年会議所に誘ってくれたのです。入会した当初は、右も左もわからず、網走青年会議所というものを観察していました。その中で、私自身が青年会議所運動に引き込まれたのは、先輩達が本気でまちのために行動し、真摯にJC運動に向き合っている姿を目の当たりにしたからでした。やらされているのではなく、自分の意志を持って行動する姿に、何も考えず、日々を過ごしている自分が情けなくなりました。私はJC運動に真摯に向き合うどころか、自分自身にも真摯に向き合っていなかったのです。

「なぜ、私は存在するのか?」
「会社やまちをどうしたいのか?」
「なぜ、私はJCをやっているのか?」

青年会議所は、自分自身に真摯に向き合い、これからの歩みを考える機会を、私に与えてくれたのです。網走で会社を営むことができるのも、網走というまちがあってのことです。会社に係る人すべてが家族であり、その家族を幸せにするには、この網走というまちを想い、このまちの未来を創っていく。これが、私が自分自身と向き合った末の結論でした。

【誰もが希望を抱ける網走の創造へ】
現在、網走青年会議所では、第14期LOM中期ビジョンを掲げ、希望溢れる網走の創造を目指し、運動を展開しております。希望を持ちにくい社会環境の中で、個人の自己実現や充足感の原動力となる希望の明かりを灯し、それを社会変革へとつなげ正のスパイラルを巻き起こす運動です。

「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」

仏教用語で、「足元をみなさい」という意味から、転じて「履き物を揃えましょう」という標語的に使われる言葉です。しかしその真意は、他に向かって理屈を言う前に、まず我が身、我が心と向き合え、自分の足元を見て、自分のことをよく反省しなさい、という意味です。
市民に希望を語る前に、まず我々自身が希望を持っているでしょうか。その希望の実現にむけ行動しているでしょうか。希望を持つためには、自分自身と真摯に向き合っていかなくてはならないのです。自分自身と真摯に向き合うことから、すべてがはじまるのです。
2018年度、まずは我々が自分自身と向き合うことで己の存在意義を確固たるものとし、誰もが希望を抱ける網走の創造に向けて、1年間運動に邁進することを誓います。

【未来を切り拓くリーダーの育成】
地方における少子高齢化や都市部への人口流出に伴い、人口減少と地域経済の縮小が加速しています。それは他人事ではなく網走市においても、現在3万8千人の市内人口は2040年には3万人まで落ち込む見通しであり、地域インフラの維持、産業の振興、教育・福祉・医療体制の確保など様々な分野への影響が予想されています。
そのような人口減少社会において、最も重要な課題は、「担い手」の減少です。それは、会社における人手不足という問題だけにとどまらず、まちづくり、地域における教育、祭事、JCの会員数減少など、すべてに波及します。2017年において政府は、人生100年時代を見据えた「人づくり革命」を看板政策とし、様々な施策を展開しています。まさに今、「ひとづくり」こそ、地域の未来を切り拓く原動力なのです。
このような中で、我々一人ひとりが希望を持ち、まちの未来を切り拓くリーダーへと成長していくことが必要となります。
そのために、今まで網走青年会議所で受け継がれてきた歴史と伝統を学ぶとともに、自己成長の機会を逃さぬよう、青年会議所のあらゆるファンクションに積極的に参加、参画します。また、網走を牽引する青年経済人の一員である我々は、経済人として必要な能力を見極め、それを磨き上げることで、地域経済の発展に貢献します。
さらに、会員拡大運動を推進し、共に歩む仲間を増やします。入会への障壁は、「JCはなぜ存在しているのか」、「なぜJCが運動を行っているのか」、その問いに対して共感が生まれていないからです。同世代の青年達と親睦をはかりながら、現在の地域課題を共有し、我々の運動について共感を生みだしてきましょう。会員拡大こそが、最大のJC運動です。会員拡大の重要性をメンバー一人ひとりがしっかりと認識し、人任せにすることなく、当事者意識を持ち、全メンバーで団結して取り組んでいきます。

【地方創生の深化】
近年深刻化している人口減少問題ですが、網走では人口の都市部への流出に伴い、多くの企業において担い手不足が大きな問題となっています。このままでは網走の生産性や競争力は低下していき、経済の低迷による様々な負の連鎖から、網走の人口減少にますます拍車がかかる恐れが懸念されます。そして、人口減少という「縮小社会」では、「ヒトがいなくなる」、「昔あったモノがなくなっていく」、などすべて「縮小」という概念で捉えられます。そして、「縮小」から連想されるのは、すべてネガティブなイメージでしかありません。
その一方で、AI、ロボット、IOTなどのテクノロジーの急速な進展による、第四次産業革命時代が到来し、我々の生活を一変させています。2017年6月、政府は次なる成長戦略として、未来投資戦略を閣議決定し、超スマート社会である「society 5.0」の実現に向けて、政策を総動員しています。第四次産業革命時代、最新のテクノロジーは地方の人口減少を克服する大きなチャンスなのです。
我々は、先駆けの精神によって人口減少をチャンスと捉え、政策立案実行団体として、地方創生を深化させていく必要があるのです。
まずは地域に根ざす我々が、網走や国内他地域の現状分析だけにとどまらず、世界的な視野で課題解決に真摯に向き合い、予断を排して調査・研究を行い、まちの未来を見据えた的確な運動を展開します。ここで重要なことは、マーケティングという一言につきます。「消費者が何を欲しているのか」、そういった視点がなければ、すべてのまちづくりの事業は、自己満足になってしまいます。
政策立案実行団体である我々の運動によって、「このまちの未来は明るい」「このまちには、一生住み続けたい」と思う市民が増え、地方創生をさらに深化させます。

【網走JCの価値の向上】
「総務」と聞くと、日本では、「地味」、「やりがいがない」、「やらされているだけ」といったイメージが強いと思います。組織全体の雑用係、やりたくないことをやっているのが果たして総務なのでしょうか。グローバル企業では、コーポレートサービス、ジェネラルサービスと呼ばれ、社員も含めてユーザーに対するサービスや支援を行っています。そこでは、やらされているだけの総務ではなく、プロフェッショナルとして誇りを持ち、能動的に総務の職務を遂行している姿があります。
まずは我々自身が、総務に対する認識を変化させる必要があります。そして、総務は市民、そして網走青年会議所すべてをユーザーと認識し、運動を展開するべきです。JC運動の価値向上のために、常に受け身ではなく、能動的にユーザーの抱える課題解決に向けて、何ができるかを考え実行する、それこそが総務の使命であるはずです。
広報においても、常にユーザーから何が求められているのか、を考え発信することが大切です。ユーザーに求められていない発信は、誰にも訴求することはありません。会員拡大においても、どういった情報が青年世代の心を動かすのか、常にその視点で発信をしていく必要があります。網走青年会議所の存在を宣伝するためだけのものではなく、我々の意志を市民に伝え、共感を生み出し、行動へとつながる意識変革を巻き起こします。
そして、北方領土の問題についても、解決を願う我々の意志を市民に伝え、共に問題解決へ向けて、行動します。我々は確固たる国家観を持ち、国の問題である北方領土問題の解決の一助となるべく、運動を展開します。
JCは、会議と真剣に向き合う団体です。妥協や馴れ合いを排し、諸会議の中で新たな価値を生み出す団体であり、そこに尊さを感じています。ですから、様々な会議に対して、真剣に事前準備を行っています。運動の根幹を支えることに誇りをもち、能動的な総務によって、JC運動の価値を向上させます。

【結びに】
網走青年会議所に入会して最も印象に残っていることは、どれだけ苦しくても投げ出さず、必死に自らの職務に精一杯取り組んでいる先輩の姿でした。私はその姿を見て、その先輩を支えたいと思い、また自分も簡単に投げ出すわけにはいかない、と心を打たれました。我々の行っている運動は、一人の力で達成できるものではありません。時には壁にぶつかり、時には挫折もあるでしょう。そこで妥協するか、さらに高みを目指し挑戦するかで、その事業の成否も、さらにはその人の一生も、全く違うものになるでしょう。
今まで先輩諸兄は、妥協することなく常に高みを目指し挑戦していく姿を示し続けてくださいました。その姿勢を次の世代に紡いでいくには、我々が挑戦し続けるしかないのです。JC運動に、そして自分自身に真摯に向き合い、常に自分の限界を超え、全力で挑戦していきましょう。