理事長所信
一般社団法人網走青年会議所
第74代理事長 土屋 宗章
2025年度 理事長所信
「誰もが夢を抱き挑戦できる、持続可能で明るい豊かな社会の創造」
【はじめに】
私は青年会議所の会員です。とはいうものの、入会にあたり、青年会議所という団体が何をやっている団体なのか、どういった人たちで構成されている団体なのか特にわからないまま、さらには自分が入会して何をすればいいのかもわからないまま入会しました。しかし、入会して先輩との交流や実際の会の運動を通じて、とても尊い目的意識をもった団体だということを理解し始めました。今思えば、私は今まで人生で自らの選択を迫られるような機会がなかったように思います。例えば学校の進路や社会人として就職する時も、自らの強い意志ではなく、どこか自らの責任にならないよう他に理由を求めていました。青年会議所に入会した理由も、結局、父がやっていたから自分もやるんだろう、やらなければならないんだろう、という気持ちで入会したというよりも入会させられたと自分の中でどこか思っていました。しかし、入会すると大きな志をもちまちのために奉仕をする多くの人たちに感動しました。そして私も会の中で役職を受けるようになり、導く立場として多くの判断をする立場になりました。奉仕の精神で自ら決断し組織を導いてゆく姿を見せていかなければならないという責務に悩んだことも多くあります。そこは多くの仲間と切磋琢磨しながら乗り越えることができ、同じ志をもち活動をしてゆく素晴らしさに感動するとともに、青年会議所として真面目に取り組むJAYCEEになることができ始めていると実感しました。そして2025年度は理事長という職を務めることになります。網走において永きに亘り受け継がれてきた網走青年会議所の理事長という職を全うすると同時に、網走青年会議所が誰からも憧れられる、そしてメンバーからは網走青年会議所を誇りに思ってもらえるような洗練された組織となるよう導いてまいります。
【青年として、青年会議所会員として】
現在の生活の質は昔に比べると格段に良くなっています。IT技術の革新、スマートデバイスの普及によって気軽に多くの情報に接することができるようになり、自分ひとりで物事が解決することが多くなることによって生活が便利になることで、個の生活の質は平均化されてきていますが、地域、社会としてはどうでしょうか。人口ボーナス期は当の昔に過ぎ去り人口オーナス期となって久しく、地方では消滅可能都市ということまでささやかれ、現に網走の人口と若者世代の減少は進行しています。このままでは私たちが愛するまちが衰退することが間違いない中、わたしたち青年世代はいったい何をするべきなのでしょうか。青年会議所は志同じうする者が相37 集い力を合わせて明るい豊かな社会の実現にむけて社会変革運動を推進することで、それぞれのまちの課題や原因にしっかりと向き合い、その解決に向けて会員一体となり運動を推し進める必要があります。また、我々の団体には他の団体と決定的に違う点として、「若さ」があります。青年世代として失敗を恐れることなく、果敢に挑戦していきましょう。また青年会議所には今まで先輩諸氏が紡いできた運動の歴史があります。歴史を学び時代の潮流を読み解き現状にアップデートして私たちの運動を起こしてよりよいまちへの運動をおこしましょう。
【組織の基礎を担う総務】
組織の運営において総務が担う役割は重要で、総務が組織の基礎となりその上に運動が成り立ちます。組織の会議の運営、記録の保存管理、いままでの組織の過去の運動や記録に簡単に接することができるのは過去からの知識と運用をアップデートしながら受け継ぎ、今までの総務が当たり前のことを丁寧に積み重ねてきていただいた結果です。組織の歯車ともいえる総務の担いの徹底が必要です。
また、組織の情報発信である広報も組織のブランディングを担う重要な役割です。近年では、様々なSNSの台頭や既存の広告媒体など発信の方法は多岐に渡りますが、調査研究を深めて何を誰に発信したいのか選定を重視し、手法とターゲットを適切に組み合わせた効果的な広報が必要です。私たちはまちを想い運動を続けてきている団体ですが、私たちだけで運動を続けていくことが目的ではありません。効果的な広報で周囲やまちの共感を呼び、社会を変革する運動を周囲の人たちに波及させていきましょう。
【まちづくりの団体として】
わたしたち青年会議所は社会変革団体としてよりよいまちづくりのために社会を変える仕組みづくりをしなければなりません。効果的な仕組みを作るためにはまちの現状を徹底的に調査研究してまちが抱える課題や原因を抽出し、まちに求められている理想の姿やニーズを的確に判断して運動を起こす必要があります。すでに国やまちがよりよい地域づくりのために様々なアクションプランを策定していますが、わたしたち青年会議所が何をやるべきなのか、自由に考えて挑戦の心を忘れずに運動を構築しなければなりません。私たちが住むこの網走が、他所から興味を持たれることはもちろん、網走に住み暮らす人たちも自信をもって網走を自慢できるようなこれまでにも増して魅力にあふれる「選ばれるまち」を目標としてまちづくりを展開していきましょう。
また、道東に住む私たちにとって、解決に至っていない北方領土問題についても運動を続けていかなければならない責任があります。課題解決に向けた思いを紡ぐためにも市民に運動を展開し続けていきましょう。
【よりよい未来のためのひとづくり】
私たち青年会議所は奉仕の団体です。会員は自ら会費を払い社会のために汗をかき運動を起こしています。その運動の原動力は、よりよい社会のため、地域のため、その原点は「ひとのため」であると私は考えます。誰もがひとから無償の施しを受けて心が温まった経験があると思います。自らが少し損をしても他人のために行動を起こせるひとが増えれば、その対象がまちとなり、まちのために行動を起こすひとが増えることで、ひとづくりがまちづくりにもつながると考えます。まずはひとづくりが大切です。利他の精神を大切にしたひとづくりを推進していきましょう。
また、近年の青年会議所の平均在籍年数は3年といわれています。歴が浅いまま役職を受けることが網走青年会議所でも多く見られるようになっていることが現状であり、組織における受け継がれるべき歴史や伝統が希薄化してきていることも危惧されます。新入会員の育成においても経験が浅いまま指導的立場に立つ状況も今後は考えられます。過去や歴史には必ず学ぶべき点がありますが、過去と現在ではおかれた状況が異なるので、盲目的に過去を美化しすべてを受け入れてしまうのではなく、現状を認識し過去を俯瞰的に見て、運動をアップデートする必要があります。
【仲間を増やし運動を最大化させるための拡大】
網走青年会議所は70年以上、地域のために活動してきました。これまで永きに亘り地域で運動を展開してきたことこそが私たちの運動に間違いがなかったことの証左であり、私たちはこの団体に所属できていること自体に誇りをもち、時代に必要とされている運動を自信をもって今後も展開していく必要があります。しかし、近年では地域の青年世代を含めた人口減少が進み、それに合わせてメンバー数も減少し続けています。私たちはこの運動をより地域に波及させていくには多くの同志が必要です。自分たちの組織と運動に誇りと自信をもち、まちで運動をすればその想いが伝播することで青年会議所に興味をもってくれるひとが自ずと集まる筈です。拡大運動を推進し、LOMの組織を盤石なものとして私たちの運動をより波及させるためにも会員拡大を推進していきましょう。
【第74回北海道地区大会の主管】
2025年度は第74回北海道地区大会を網走青年会議所が主管します。いままで73回に亘り受け継がれてきた北海道地区大会は北海道の明るい豊かな未来の創造のために、その年の北海道地区協議会の集大成の場、リレーションの場として開催されます。また、公益社団法人日本青年会議所の他の地区で開催される地区大会と比べても、全国大会と同等の日程・規模で開催されるこの北海道地区109 大会は特別な大会であると言えます。そのような地区大会を主管するということは光栄であると同時に大きな責任がある一方で、網走青年会議所のメンバーは減少の傾向があり、10年前と比べても半分以下である20名程度で主管することになります。2025年度はこの地区大会主管という大きな困難があります。上役のメンバーは組織をけん引し、少ないメンバーで工夫を凝らしながら主催である北海道地区協議会とともに地区大会を成功させるために様々な課題を解決し最高の地区大会を構築していきましょう。そして地区大会を主管する過程と実施後には主管した人にしか見えない景色があります。来年は間違いなく例年と比べても困難や苦難が多くあることは間違いありません。網走青年会議所メンバー一丸となって、過去最高の地区大会を作り上げましょう。また、北海道地区協議会、ブロック協議会における各事業にも積極的に参加しすることはもちろん、地区大会のPRもメンバー一丸となって取り組まなければなりません。2025年度は私たち網走青年会議所が全道で一番注目されるLOMになります。さすが網走といわれるようなかっこいいLOMを目指して事業運動への連携と参加をしていきましょう。
【まちの他団体との連携】
網走では、行政はもとよりまちのために活動を続けている団体が多くあります。互いを尊重しあい、それぞれの団体の特色を活かしながら互いの会議やイベントに参画し交流をしながら効果的にまちの課題にアプローチすることで、よりよいまちづくりを目指し運動を最大化する必要があります。また、もしも私たちが住む地域で災害が発生した時には、行政や社会福祉協議会と連携し、ボランティア活動と災害対応に進んで取り組む必要があります。
【結びに】
青年会議所の会員としてあるべき姿とは何か。定義や難しい考え方はたくさんあります。しかし、青年会議所という大きな枠の中であれば、メンバーそれぞれが自ら悩み考え、ひとやまちのためを本気で思い情熱をもって行動を起こすことに間違いなどありません。若さという最大の武器を存分に発揮して、勇気と情熱をもって運動を起こし、明るい豊かな社会に向けた変革を起こしましょう。
臆病になるのは大人になってからでいい。
挑戦の心を忘れることなく、大きな夢を抱き行動を起こしていこう。